特選農家紹介

2017.05.24 | 特選農家紹介

(株)フリーデン(神奈川県)

フリーデンは2012年の第61回全国農業コンクールで名誉賞を受賞。推薦され、参加したその年の農林水産祭(農水省など主催)では、最高賞の「天皇杯」を獲得しました。大谷康志社長に、企業理念や商品のこだわりなどについて聞きました。

「良質な動物性タンパク質が必要となる時代が必ず到来する」
戦後復興の中で、新しい養豚の姿を求めた創業者

 ――日本で初めて一貫生産システムを導入したきっかけは

大谷:創業者たちは、戦後の復興が急激に進む様子を見て、「将来、日本人には良質な動物性タンパク質が必要となる時代が必ず到来し、養豚は新しい事業になる」と確信し大量飼育にチャレンジしたそうです。
当初、肉豚500頭の肥育農場を立ち上げ、様々な農場で生まれた子豚を購入しましたが、購入することで生じる病気の問題に直面しました。一貫生産システムは、そのリスクを避けるため、当時米国で行われていた三元輪番方式(三つの原種の相互交配)による繁殖から肉豚出荷というやり方にたどり着いたのです。米国での実践モデルですから、風土の違いによる設備や管理方法など、さまざまな問題が発生。試行錯誤の末、独自のノウハウを確立することができました。

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取り扱う精肉は全て農場HACCP認証の自社生産もの
「安心・安全・おいしさ」が企業理念 徹底的な安全管理も

 ――商品のこだわり、品質管理についてお聞かせください

大谷:フリーデンは「安心・安全・おいしさ」を企業理念に掲げています。その理念を実践するために、徹底した品質管理をし、信頼確保に努めています。
農場では、定期的な検査を行い、高い衛生レベルの維持に努めるとともに、部外者の農場入場に対する制限や、出荷車両の検査など「他から病気を持ち込まない、持ち出さない」ことを目的に、衛生管理をしています。
また近年、新型インフルエンザが社会問題となったケースでは、獣医師と相談した結果、養豚場から新型インフルエンザが発生しないように、全農場の従業員と全飼養豚に、インフルエンザワクチンの接種を義務付けました。
自社で取り扱う精肉はすべて、農林水産省の推奨する「農場HACCP」の認証を受けた、自社農場で生産された豚肉のみとしています。ISO9001認証を取得した伊勢原工場では、その豚肉を使ったドイツ伝統製法で加工品を製造しています。

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飼料用米「やまと豚米(まい)らぶ」で肉質向上!高付加価値の豚肉生産へ

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大谷:また、2003年から国の農業政策とも呼応し、家畜専用飼料用米の実現にむけ研究する産官学連携の「飼料用米プロジェクト」に着手しましたが、この飼料用米で育てた高付加価値の豚肉を作り出すことに成功しました。 この飼料用米を新ブランド「やまと豚米(まい)らぶ」と名づけ2008年から出荷していますが、肥育段階で飼料米を与えると、悪玉コレステロール値を下げるといわれるオレイン酸が増え、肥育後期にトウモロコシの15%を飼料米で代替すると、硬くしまりのある肉質に変化します。脂がさっぱりしているのに旨みがあると高い評価を得ています。


オリジナルブランド「やまと豚」 ネーミングは「日本を代表する豚肉でありたい」

 ――2001年から販売を始められたオリジナルブランド「やまと豚」のネーミングの由来は

大谷:社内公募などをして提案されてきたものの中から選定しました。「どの時代においても日本を代表する豚肉でありたい」という創業からの想いが表現されているネーミングとして採用しました。


飼料用米プロジェクトで次世代の担い手育成
福島に新工場建設、事故後の活性化の一助に

 ――今後の取り組みや地域貢献などについてお聞かせください

大谷:飼料用米プロジェクトも2014年度には、耕作放置地や休耕田を主とした作付け面積が、100haまで拡大しました。飼料用米栽培は、休耕田の復活や耕種農家の安定的な収入源の位置づけはもとより、中山間地の保水機能維持や、JAの設備活用など地元貢献と地域の活性化と、次世代の担い手の育成にもつながっています。 また、東日本大震災で、福島県の農場などは、原発の影響で長らく営業を休止していましたが、現在、ハム工房都路の新工場と直売所を建設中です。これが完成することにより、原発事故後の地域の活性化の一助になればと考えています。 今後については、「命あるものに接している」という姿勢を原点として忘れず、「安心・安全・おいしさ」を追求するフードチェーン(農場から食卓まで)としての使命を果たしていきたいと思います。

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プロフィール

frieden_plofile_photo.jpg(株)フリーデン社長:大谷 康志さん

第61回全国農業コンクール名誉賞(農林水産大臣賞・毎日新聞社賞)
1948年7月3日生。フリーデンの創業は1960年。農家がたい肥を取るために1、2頭の豚を飼っていた時代に新しい産業としての養豚業を目指し、日本で初めてとなる多頭肥育一貫生産システムを導入。 その後、加工工場や直営レストランなども設けるなど、生産から加工、流通、販売までの一貫システムに拡充・強化。現在、北関東と東北に4直営農場と6提携農場に種豚および肉豚を生産し、自社ブランド 「やまと豚」として、年間27万頭の肉豚を出荷する。飼料用米の作付けは、休耕田・耕作放置地などの活用で地域活性化と農地保全にも役立ち、稲作農業と畜産業との連携によって新たな事業を生み、担い手 の活躍できる場を創出。また、発展途上国から留学生を受け入れるため、奨学金制度(東京農業大学・修士コース、原則として帰国後養豚関係の仕事に従事)を2008年に設けるなど、意欲的な社会貢献にも取 り組んでいる。従業員数約300人。臨時雇用も含めると500人近くになる企業養豚のトップランナーをけん引する。

2017.05.24 | 特選農家紹介

(株)地黄卵(福岡県)

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【お申し込み・お問い合わせ】
地黄卵
福岡県宮若市山口2533-1
電話:0949-52-2905
メール:afk94790@wind.odn.ne.jp
オンラインショップ:http://www.eggfarm.jp

※取扱い:クレジット・代引き・事前銀行振込
※送料、代引手数料、取扱い金融機関などはお問い合わせください。

こだわりの「純植物性飼料」がブランド卵を誕生させた
低カロリーで高ビタミンE。まろやかな甘みも

jiouran_img01.jpg 「少し価格が高くなっても、他のところのものとは違う、高品質でおいしい卵を作りたかった。そのためにとことん餌づくりにこだわった」と話す荒巻さん。

 それが、試行錯誤の末に完成させた荒牧さん自慢の純植物性飼料だ。うまみ成分のオレイン酸やリノール酸などが豊富で、遺伝子組み換えなしの原種に近いトウモロコシをメーンにしたオリジナル飼料。それで育った鶏が産む卵は、低カロリーで、ビタミンEが非常に高く、生臭みもなく、まろやかな甘みとうま味が特徴のブランド卵「地黄卵」の誕生の原動力となった。

 「一度食べたら、他の卵は食べられない」「卵かけごはんにしたら、とってもおいしかった」――。こんな消費者から届く反響に、荒牧さんは目を細めながら、「こだわり続けて良かった。とてもうれしい」と照れくさそうに話す。


きっかけは「自分の卵に自分で価格をつけたい」
飼料開発に模索の2年。効果確認に鶏のふんとの"格闘"も

jiouran_img02.jpg こだわるきっかけとなったのは、「自分の卵に自分で価格を付けることができないという当時の業界のシステムに危機感を持った」(荒牧さん)からだという。

 サラリーマンから転職し、父親の養鶏場を引き継いだ当時、どの養鶏業者も、卵の選別からパッケージ、出荷までを取引している飼料会社が行っていた。販売ルート確保の不安はないものの、卵の価格は相場に左右され、低価格の要求を受け入れざるを得なかった。荒牧さんは「こりゃ、どうにかせないかん!自分が生産する卵に、自分自身で値段をつけたい」と考え、自社販売を決意した。

 販売ルートづくりから始めなければならない。養鶏農家自らが販売先開拓のために、直接営業活動をすることが珍しい時代、周囲の人から白い目で見られたこともあったが、「自分が生き残る道はこれしかない」と信じて、がむしゃらに販売先獲得に走り回った。

 同時に、消費者に喜ばれるこだわりの卵づくりが不可欠と思い、独自飼料の開発に着手。人間と同じように鶏の腸内も弱酸性にすると健康になることから、手始めに餌に乳酸菌を入れ、「1ヶ月間にわたって、鶏のふんにリトマス試験紙をつけて弱酸性になるかどうかを確認した」(荒牧さん)というほどの熱の入れようだった。懸命な模索はその後、2年間も続き、念願の純植物性飼料「ヂオウ18」の開発にたどり着いたという。


安全・安心へ衛生管理も徹底!選卵も基準高く、取引先から高い評価

jiouran_img04.jpg 当然のように、消費者が厳しい目を向ける安全・安心にも心を割く。

 独自開発した飼料「ヂオウ18」の主原料であるトウモロコシはIPコーン(特殊形質保護トウモロコシ)という、交配などで品質が変わらないよう厳格に管理されたもの。「使っているトウモロコシは通常のものと比べ、価格も高いが、これをやめるわけにはいきません。やめてしまうと、それは地黄卵ではなくなってしまう」と言うほどのこだわりを持つ。

 それ以外にも大豆や菜種油のかす、赤ピーマン、乳酸菌などを配合するなど、純植物性を徹底する。

 また、農場には食品の安全性の確保と品質管理のためにHACCP(ハサップ)の手法を用いて衛生管理を行っている。農場に入るためには必ず除菌用更衣室を通過しなければならず、外からの異物進入防止の実施、部屋の温度管理・卵の出荷数の一覧表を掲示するなどして、従業員全員が安全・安心の卵づくりへの取り組みを積極的に行っている。

 もちろん出荷する卵は、「選卵基準を特に厳しく設定し、キズや割れはもちろん、表面の色ムラもチェックして、均質で良質な卵のみ出荷します」と強調。その徹底ぶりに取引先からの厚い信頼と高い評価を得ている。


ブランド卵を活用した地域活性化策も模索
直営店で地域農産物も販売。膨らむ農業公園構想

 荒牧さんは今、「地黄卵」ブランドを活用した、地域活性化への試みも実践している。「地黄卵だけが売れればいいのではない。少しでも多くの人に、おいしい宮若の農産物を食べてもらいたい。そのために地黄卵を役立てたい」という、荒牧さんの地域への思い入れでもある。

 農場横で開設している直売所「若宮たまごの里」では地黄卵以外にも、自社農場の良質なたい肥を使った「たまごのお米」や地元農家が生産する農産物を販売する。これは荒牧さんが会長を務めている宮若市認定農業者連絡協議会とのタイアップ事業である。

 「将来は地元農家自慢の農産物を食べられるレストランや田植えもできる体験型施設も併設した農業公園を、行政や地元農家みんなで造って宮若の地域農業の発展させたい」。荒牧さんは大きな夢に胸を膨らませている。

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プロフィール

jiouran_plofile_photo.jpg(株)地黄卵社長:荒牧 博幸さん

第60回全国農業コンクール優秀賞(毎日新聞社賞)
1952年4月19日生。前進の荒牧養鶏場を父親から引き継ぐため、就職していた地元企業を脱サラしたのが85年。当初、9000羽だった飼養規模は現在、4万羽近くに拡大。2005年には社名を㈱地黄卵に変更し、「地黄卵」ブランドを確立させた。卵以外にも、農場横の直売店舗「若宮たまごの里」や2011年9月にオープンしたレストラン「五反田亭」を経営し、"6次産業化"にも積極的に取り組んでいる。また、若宮市認定農業者連絡協議会の代表として、地元の特産品を直売店舗で販売し、宮若市農業の活性化にも尽力している。

2017.05.24 | 特選農家紹介

キッチンガーデン利用組合(岩手県)

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【お申し込み・お問い合わせ】
キッチンガーデン利用組合
〒028-6968 岩手県二戸市浄法寺町海上前田6-13
電話:0195-38-4936
メール:k-garden@axel.ocn.ne.jp

※取扱い:代引き
※送料、代引手数料などはお問い合わせください。

「新鮮な野菜を心をこめて提供したい」年間36000人が訪れる直売施設、交流拠点にも

kitchen_garden_img01.jpg 「自分たちが育てた農産物を直接消費者へ提供したい」「地元の食文化を発信していきたい」「女性の地位向上にもつなげたい」―。

 そんな目標を掲げ、地域の生活改善グループのメンバーらが立ち上がって、1996年に設立したのがキッチンガーデン利用組合。県道沿いに同時に開設された産地直売施設「キッチンガーデン」には、組合員が丹精こめて育てあげ、その日に収穫されたみずみずしい野菜や女性ならではのアイデアと工夫を凝らした洋菓子、地域で昔から食べられてきた郷土菓子などが並ぶ。組合員は40歳代~70歳代。店内には、交代で店を切り盛りするお母さんらの生き生きとした笑顔があふれる。

 設立メンバーで、同組合の理事を務める三浦静子さんは「毎日、新鮮で元気な野菜を提供し、心をこめて売り切りたい。売り切ることが、私たちの明日への力になっている」と話す。設立から十数年が経過。口コミなどで評判が広がった直売所には、地元の人はもとより、車で通りがかった観光客ら年間約36000人が訪れる人気店に成長。店内では、生産者と消費者らとの楽しい会話も弾むなど、地域の交流・情報発信拠点としての役割も果たす。


オリジナル商品開発で他施設との差別化図る。切磋琢磨で組合員の力量アップ

 全国には同様な直売施設が数多くあり、新鮮さとか、安心・安全な農産物を並べるだけではなかなか生き残れない。そんな厳しい環境の中、多くの来店者を集めているわけは、他の直売施設との差別化への積極的な取り組みだ。

 その一つが、組合員の思いがたくさん詰まったオリジナル加工商品の開発。「生き残るためには商品の魅力が不可欠」(三浦さん)と、ホテルのシェフを講師に招いた洋菓子講習会の開催や、併設された加工室では組合員たちの商品開発に向けた活気ある試行錯誤が続く。こうした取り組みから、雑穀入りクッキーやパン、ワッフルなどの売れ筋商品が完成。開業時は郷土食を中心とする21品だった加工品は、50品を超える。

kitchen_garden_img02.jpg その推進力となっているのが、組合員同士の切磋琢磨だ。店舗に並ぶ商品には、それぞれが生産者・加工者の名前が明示してある。当然、同じ商品も並んで売られ、特定の組合員の商品をご指名で買い求めるお客さんも少なくない。商品の出来で、成果は一目瞭然となることから、互いに懸命の力量アップに磨きをかける。

 それは技術的な面だけでなく、組合員のモノづくりへの意識も高めるなど、相乗効果も発揮する。

 野菜のほかサルビアやペチュニアなどの花を販売する藤本マサ子さんは「反響も多いから、悪いものは作れない」。郷土食・きゃばもち(※小麦粉に砂糖などを加えてこねたものを柏の葉で包んで焼いた菓子)などを作る岩手県「食の匠」認定の三浦栄子さんは「また食べたいと言われるのがとてもうれしい。励みになる」。小森マキ子さんのリンゴは評判がよく、完売もしばしばあるといい、「やはり、自分で育てたものが売り切れると大変うれしい」と笑顔を見せる。もち米が人気の70歳代の佐々木美栄さんと、40歳代の畑山太栄子は「おいしさはもちろんだが、商品として見栄えも考えるようになってきた」と口をそろえる。三浦智恵子さんは「20歳の息子が野菜作りに目覚めてきた」とうれしそうに話す。

 差別化のもう一つは、食育活動や地産地消への取り組みで、直接的ではないものの、この実践が新たなキッチンガーデンファンを創造する。

 2004年には、東京の小学校に出向き、児童に郷土食の作り方や小松菜の植え方などを指導。翌年には同じく都内のNPO法人が運営する「食材の寺子屋」で、町の食材で調理した料理を提供した。こうした取り組みが縁となり、その後の販路拡大にもつながっている。さらには、地元の保育所や学校給食センターへも食材を供給するなど、組合としての努力も怠らない。


熱い思いも届ける「キッチンおまかせ宅配」今後の切り札として大きな期待

 理事の三浦静子さんは今後の抱負について「これからはもっと多くのお客さんにキッチンガーデンのファンになってもらえるように、女性の感性とガッツで頑張りたい」と意気込む。その大きなアイテムとなるのが「キッチンおまかせ宅配」。四季折々の新鮮野菜と加工品を詰め合わせたもので、新鮮さと同時に組合員の熱い思いもいっぱい詰め込んだ。三浦静子さんは「多くの全国の消費者の皆さんに、浄法寺の元気な女性が作った元気な野菜を送り届けたい」とその思いを代弁し、さらなる販路拡大に期待をかける。

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プロフィール

kitchen_garden_plofile_photo.jpgキッチンガーデン利用組合

第58回全国農業コンクール優秀賞(毎日新聞社賞)
農作業の担い手である地域の女性らが中心となって1996年4月に設立。同年5月に加工施設を併設した直売施設「キッチンガーデン」を開設。開業時の売上は年間2500万円だったが、積極的な商品開発や販路拡大に取り組み、売上額は7000万円を超えるまでに成長した。2003年にはホームページも開設した。組合員数は現在39人(女性36人、男性3人)。直売施設での売上は組合員に還元されるが、そのうちの10%を組合員から徴収。加工施設の運営や食育活動などに当てている。キャッチフレーズは「元気な野菜」。

2017.05.24 | 特選農家紹介

(有)営農ワイエムアイ(富山県)

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【お申し込み・お問い合わせ】
営農ワイエムアイ
富山県富山市大栗26番2
電話:076-483-2720(土・日・祝日は定休日)
メール:ymi@okome-web.com
ホームページ:http://ymi-toyama.com/
オンラインショップ:http://ymi-toyama.com/html/products/list

※取扱い:代引き・事前銀行振込・事前ゆうちょ銀行振込
※送料、代引手数料、取扱金融機関などはお問い合わせください。

「自然の恩恵とこだわりが本物の味を生む」立山連峰の清流と真心込めた米作り

ymi_img01.jpg 富山県の中央南部に位置する富山市大山地域。東は荘厳な立山連峰、南は飛騨山地に囲まれた山間地帯だが、その立地条件や環境が、おいしい米づくりに大きな恩恵をもたらしてくれる。

 その山々から流れ出る冷たい豊富な水資源。その清流は夏場でも涼しい水田環境を醸成し、しっかりした稲体をはぐくむ。

 こうした稲作最適地に、手間暇惜しまぬ米作りへの愛情が注がれる。「真心込めて米づくりをすると、真心のこもった良い米に育ってくれる。逆に手を抜いたらすぐわかる。どうすればいいのかを、何もしゃべらない稲が、ちゃんと教えてくれるんです」と米づくりの鉄則を熱く語る山﨑さん。「自然の恵みと、作り手のこだわりが本物の味を作り上げる」(山﨑さん)。


「志」と「目標」を掲げて地域農業の未来に挑戦!退路を断って農業法人設立

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 山﨑さんが社長を務める「営農ワイエムアイ」は、地域の水田などを農家から借り受け、生産・販売する。

 法人設立のきっかけは、地域農業の担い手の高齢化と兼業化だった。昭和40年代から「手が足りないので、手伝ってほしい」という声が上がり始めた。当初は、任意のグループが部分的な作業受託という形で対応していたが、次第に「農作業ができないので、田んぼを預かってほしい」という全面委託の要望が急増してきたという。

 こうなると、任意のグループでは対応しきれない。「地域農業の存続にかかわる課題を何とかしたい」。意欲ある農家3人と当時、農協の営農指導員をしていた山﨑さんの計4人が受託組織結成について協議。1991年に法人を立ち上げて、地域の大きな課題に対応していくことになった。

 山﨑さんらが結成にあたって掲げたのが、年間を通した就農の確保▽米の直接販売と農産加工への取り組み▽地域のサラリーマンと同等以上の安定した所得の確保▽後継者の育成――など、企業経営的な明確な目標設定だった。

 当時を振り返り、山﨑さんは「営農指導員はしていたが、純粋な農家ではなかった。農業のことがよく分からなかったから、新しいことにチャレンジすることができたかもしれない」と笑いながら話す。そして「この地域を何とかしなければという強い思いと、実践しなければ何も始まらないという気持ちだった」と話す。

 大きな志を掲げた山﨑さんは、法人設立前の1990年に農協を退職。まさに、退路を断って、地域農業の未来にチャレンジすることになった。

こだわりは減農薬と99%有機たい肥「自信を持って答えられる米作りを」

 法人設立当初は、作業受託が主体で、耕作面積24㌶でスタートしたが、徐々にその「志」が地域の人に認められ、「あの人なら信頼して農地を預かってもらえる」と、全面受託が増加。稲作のほか大豆などを併せると、100㌶近くに経営面積を拡大している。そのうち、水田の耕作面積は約80㌶で、大山地域の水田面積の2割近くに当たるまでに成長してきた。

 規模拡大に伴って、従業員は、30歳代を中心に12人に増え、従業員の農業所得も地場産業と同等以上を確保。さらに、冬場のシロネギなど、年間の就農を可能にするための新規作物を導入し、設立当初に掲げた目標も着実にクリア。企業的農業法人として成長し続ける。

 もちろん、中心作物である米作りへのこだわりは大きく、品質や安心・安全性を高めるための創意工夫も怠りない。

 「高品質で、良食味米の生産のためには、土づくりが欠かせない」(山﨑さん)。安心・安全という消費者ニーズに的確に応えることも目的に、近くの酪農家と連携し、牛フンに油カスやリン酸などを配合した独自の「99%有機たい肥」(山﨑さん)を考案。5年から10年という長期的視点に立った、土づくりを進めている。さらに、農薬散布も通常の散布回数の半分以下に控えるなど、減農薬にも気を配る。

 減農薬や独自たい肥による土づくりには、手作業による除草など、通常以上の手間暇がかかってくるが、「消費者の方に安心して食べてもらえる米、おいしいと言ってもらえる米を作りたい。そして、どんな栽培の仕方をしているのかと、問われたときに、自信を持って答えられる米作りを続けて行きたい」と、その労を惜しまない。

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目指すは全量直売「1人でも多くの消費者の皆さんと直接つながりたい」

 山﨑さんが今一番力を入れているのが、減農薬米の消費者への直接販売だ。

 1994年から直販を始めたが、真心をこめて作った良質な食味が口コミで広がり、富山県内外から年間200件を超える注文があるという。

 現在の直売比率は、全体の25%だが、「近い将来は、全量を直売にしたい」と意気込む。そのために、一層の良質米を提供する努力や投資も行う。後継者づくりという意味も含めた栽培技術の向上のほか、2007年からは、玄米の色彩選別機を導入。「米の色や形の良いものを提供できるようになった」と自信を持って話す。

 山﨑さんは、直売にこだわる理由について「直売することでリアルタイムにニーズが把握できるし、自分たちが真心込めて作った米を通して、消費者の皆さんの心とつながりたい。そして、スーパーで買ってもらえるような感覚で、1人でも多くの方に安くておいしい米を提供したい」と熱く語る。そして続けて「こうした取り組みが、これからも耕作放棄田が出ないようにし、この地域の農業を次の世代に引き継いでいくことにつながる」と強調する。

 地域農業を支える営農ワイエムアイの挑戦は続く。

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プロフィール

ymi_plofile_photo.jpg(有)営農ワイエムアイ社長:山﨑 一正さん

第56回全国農業コンクール優秀賞(毎日新聞社賞)
1950年1月1日生。高校を卒業後、父親が経営する運送会社勤務を経て、地元農協に入所。営農指導員に。高齢化や兼業化で耕作できない水田などが増えてきた地域を支えたい、 という思いから、1991年、地元の農家らとともに、農業生産法人「有限会社営農ワイエムアイ」を設立し、2004年から社長に就任。農地の借地化・集積化を進め、現在は100㌶規模の 耕作面積で、米を中心に大豆、富山シロネギなどの生産・販売を展開。将来的には餅加工などの農産物の加工も視野に入れている。土日の休日導入など、若者が就農しやすい労働環境 を整えるなど、地域を担う後継者の確保・育成にも力を入れており、地元の農業高校などからもスタッフを受け入れている。座右の銘は「千畳敷に寝ても一畳」。趣味は「休日は必ず 練習場に通うという」ほどのゴルフ。ハンデ9のシングルプレーヤー。

2017.05.19 | 特選農家紹介

マルハチ(長崎県)

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適地適作の「天草」でミカン作り 夢実現にチャレンジ

八木さんのミカンづくりにかける熱い思いは計りしれない。
2010年、自宅がある島原半島から海を隔てた対岸の熊本・天草地方で新たな挑戦を始めた。「ミカンづくりに適したところで品質の良いミカンをつくりたい」という、就農時からの夢を実現させるためのチャレンジだった。
「ミカンづくりにはぴったりの土壌」とほれ込み、天草で15㌶の用地を取得。現地に宿舎も確保するなどの熱の入れよう。時には奥さんと2人で数週間、そこに泊まり込んでの苗植え作業が続く。「心配なところもあるが、楽しみのほうが多い」と、4年後の収穫に胸を膨らませている。

関東を中心に「日野江」ブランドで販売!地域貢献にも積極的

news01_02.jpg八木さんは島原半島にある雲仙普賢岳の近くで、両親から引き継いだ果樹園で良質の「ミカン」「デコポン」などの柑橘類や「梨」を生産。引き継いだ当初と比べると、栽培面積は5倍以上に広がる。八木さんが生産するミカンは関東を中心に、「日野江」ブランドとして、デパートやスーパー、生協などに出荷されている。

 栽培に従事しているのは、八木さん夫婦と次男夫婦の家族と従業員3人、パート15人。25年ほど前から長崎県立農業大学校などから研修生も受け入れるなど、地域貢献も積極的に取り組んでいる。


1年間の研修で就農を決意!「人間的な魅力にほれ込んだ」

news01_03.jpg就農前までは、「農業はしんどいし、儲からないと思っていた」という八木さん。その八木さんが、就農するきっかけとなったのは高校3年の夏休み、父親から誘われて、一緒に熊本県のミカン農家を視察した時だったという。

 その理由は、従来の人力による各種作業を機械で省力化に取り組む効率的な生産体制を目の当たりにしたのと、「視察先のおやじさんの人間的な魅力にほれ込んだから」だったという。視察帰りの車の中で、1年間、そこで研修させてもらうことを決意した。「毎日の仕事は厳しかったが、やり方次第で農家はもうかると肌で感じることができた」という。

 1年間の研修後、「おやじさんを追い越すことを目標」に設定して就農。収穫量アップと品質向上を目指して創意工夫し、生産地域の土壌に合う品質導入に早くから取り組み、高品質ミカンの安定的な生産を実現するなど情熱と実行力を持った農家へ成長していった。


あふれる愛情「ミカンづくりは子育てと同じ」

農業は自然が相手。「いかに努力しても毎年同じ品質の果物をつくることはできない。しかし、それでも一生懸命頑張っておいしいものをつくっていきたい」と、可能な限りの努力は惜しまない。

 その努力とは、あふれんばかりの生産物に対する愛情だ。その思いを八木さんは目を細めてこう話す。  「樹木に対しても一生懸命育ててやれば毎年おいしい果物ができる。手を抜けばそうはいかない。手をかければかけるほど樹木は必ず結実という形で応えてくれる。子育てと同じです」

食への安心・安全へも強いこだわり

食の「安心」と「安全」へのこだわりも強く、土づくりと化学肥料や農薬をできるだけ使用しない栽培に取り組むエコファーマー認定を取得。雑草駆除には除草剤は一切使用せずに年間8回程度、手作業で雑草を駆除するなど環境に配慮する取り組みを積極的に行っている。

 ただ、結果として収穫量が減ったり、見た目が悪くなったりすることもある。しかし、その収穫物を持って学校給食会にPRに行ったことがきっかけで、食農教育に関する講師のオファーがくるなど、消費者から着実に評価されている。

 これからの大きな目標は、「一つ目に品質を厳選しおいしい果物を生産すること、二つ目にうまくて安心なものをつくること」ときっぱり言いきる八木さん。適地適作の「天草」で八木さんが育てた、「こだわりのミカン」が消費者の食卓に届く日もそう遠くない。

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プロフィール

news01_05.jpgマルハチ代表:八木 敏夫さん

第54回全国農業コンクール優秀賞(毎日新聞社賞)
長崎県南島原市有家町 1953年8月16日生。高校卒業後、1年間の農業研修を経て就農。現在はミカンを中心とした柑橘類と梨を生産する大規模果樹園を経営すると同時に、地域生産者の組合代表として、環境に配慮した生産にも積極的に取り組んでいる。