特選農家紹介

2017.05.24 | 特選農家紹介

キッチンガーデン利用組合(岩手県)

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【お申し込み・お問い合わせ】
キッチンガーデン利用組合
〒028-6968 岩手県二戸市浄法寺町海上前田6-13
電話:0195-38-4936
メール:k-garden@axel.ocn.ne.jp

※取扱い:代引き
※送料、代引手数料などはお問い合わせください。

「新鮮な野菜を心をこめて提供したい」年間36000人が訪れる直売施設、交流拠点にも

kitchen_garden_img01.jpg 「自分たちが育てた農産物を直接消費者へ提供したい」「地元の食文化を発信していきたい」「女性の地位向上にもつなげたい」―。

 そんな目標を掲げ、地域の生活改善グループのメンバーらが立ち上がって、1996年に設立したのがキッチンガーデン利用組合。県道沿いに同時に開設された産地直売施設「キッチンガーデン」には、組合員が丹精こめて育てあげ、その日に収穫されたみずみずしい野菜や女性ならではのアイデアと工夫を凝らした洋菓子、地域で昔から食べられてきた郷土菓子などが並ぶ。組合員は40歳代~70歳代。店内には、交代で店を切り盛りするお母さんらの生き生きとした笑顔があふれる。

 設立メンバーで、同組合の理事を務める三浦静子さんは「毎日、新鮮で元気な野菜を提供し、心をこめて売り切りたい。売り切ることが、私たちの明日への力になっている」と話す。設立から十数年が経過。口コミなどで評判が広がった直売所には、地元の人はもとより、車で通りがかった観光客ら年間約36000人が訪れる人気店に成長。店内では、生産者と消費者らとの楽しい会話も弾むなど、地域の交流・情報発信拠点としての役割も果たす。


オリジナル商品開発で他施設との差別化図る。切磋琢磨で組合員の力量アップ

 全国には同様な直売施設が数多くあり、新鮮さとか、安心・安全な農産物を並べるだけではなかなか生き残れない。そんな厳しい環境の中、多くの来店者を集めているわけは、他の直売施設との差別化への積極的な取り組みだ。

 その一つが、組合員の思いがたくさん詰まったオリジナル加工商品の開発。「生き残るためには商品の魅力が不可欠」(三浦さん)と、ホテルのシェフを講師に招いた洋菓子講習会の開催や、併設された加工室では組合員たちの商品開発に向けた活気ある試行錯誤が続く。こうした取り組みから、雑穀入りクッキーやパン、ワッフルなどの売れ筋商品が完成。開業時は郷土食を中心とする21品だった加工品は、50品を超える。

kitchen_garden_img02.jpg その推進力となっているのが、組合員同士の切磋琢磨だ。店舗に並ぶ商品には、それぞれが生産者・加工者の名前が明示してある。当然、同じ商品も並んで売られ、特定の組合員の商品をご指名で買い求めるお客さんも少なくない。商品の出来で、成果は一目瞭然となることから、互いに懸命の力量アップに磨きをかける。

 それは技術的な面だけでなく、組合員のモノづくりへの意識も高めるなど、相乗効果も発揮する。

 野菜のほかサルビアやペチュニアなどの花を販売する藤本マサ子さんは「反響も多いから、悪いものは作れない」。郷土食・きゃばもち(※小麦粉に砂糖などを加えてこねたものを柏の葉で包んで焼いた菓子)などを作る岩手県「食の匠」認定の三浦栄子さんは「また食べたいと言われるのがとてもうれしい。励みになる」。小森マキ子さんのリンゴは評判がよく、完売もしばしばあるといい、「やはり、自分で育てたものが売り切れると大変うれしい」と笑顔を見せる。もち米が人気の70歳代の佐々木美栄さんと、40歳代の畑山太栄子は「おいしさはもちろんだが、商品として見栄えも考えるようになってきた」と口をそろえる。三浦智恵子さんは「20歳の息子が野菜作りに目覚めてきた」とうれしそうに話す。

 差別化のもう一つは、食育活動や地産地消への取り組みで、直接的ではないものの、この実践が新たなキッチンガーデンファンを創造する。

 2004年には、東京の小学校に出向き、児童に郷土食の作り方や小松菜の植え方などを指導。翌年には同じく都内のNPO法人が運営する「食材の寺子屋」で、町の食材で調理した料理を提供した。こうした取り組みが縁となり、その後の販路拡大にもつながっている。さらには、地元の保育所や学校給食センターへも食材を供給するなど、組合としての努力も怠らない。


熱い思いも届ける「キッチンおまかせ宅配」今後の切り札として大きな期待

 理事の三浦静子さんは今後の抱負について「これからはもっと多くのお客さんにキッチンガーデンのファンになってもらえるように、女性の感性とガッツで頑張りたい」と意気込む。その大きなアイテムとなるのが「キッチンおまかせ宅配」。四季折々の新鮮野菜と加工品を詰め合わせたもので、新鮮さと同時に組合員の熱い思いもいっぱい詰め込んだ。三浦静子さんは「多くの全国の消費者の皆さんに、浄法寺の元気な女性が作った元気な野菜を送り届けたい」とその思いを代弁し、さらなる販路拡大に期待をかける。

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プロフィール

kitchen_garden_plofile_photo.jpgキッチンガーデン利用組合

第58回全国農業コンクール優秀賞(毎日新聞社賞)
農作業の担い手である地域の女性らが中心となって1996年4月に設立。同年5月に加工施設を併設した直売施設「キッチンガーデン」を開設。開業時の売上は年間2500万円だったが、積極的な商品開発や販路拡大に取り組み、売上額は7000万円を超えるまでに成長した。2003年にはホームページも開設した。組合員数は現在39人(女性36人、男性3人)。直売施設での売上は組合員に還元されるが、そのうちの10%を組合員から徴収。加工施設の運営や食育活動などに当てている。キャッチフレーズは「元気な野菜」。