特選農家紹介

2017.05.24 | 特選農家紹介

(株)地黄卵(福岡県)

j_001.jpg

【お申し込み・お問い合わせ】
地黄卵
福岡県宮若市山口2533-1
電話:0949-52-2905
メール:afk94790@wind.odn.ne.jp
オンラインショップ:http://www.eggfarm.jp

※取扱い:クレジット・代引き・事前銀行振込
※送料、代引手数料、取扱い金融機関などはお問い合わせください。

こだわりの「純植物性飼料」がブランド卵を誕生させた
低カロリーで高ビタミンE。まろやかな甘みも

jiouran_img01.jpg 「少し価格が高くなっても、他のところのものとは違う、高品質でおいしい卵を作りたかった。そのためにとことん餌づくりにこだわった」と話す荒巻さん。

 それが、試行錯誤の末に完成させた荒牧さん自慢の純植物性飼料だ。うまみ成分のオレイン酸やリノール酸などが豊富で、遺伝子組み換えなしの原種に近いトウモロコシをメーンにしたオリジナル飼料。それで育った鶏が産む卵は、低カロリーで、ビタミンEが非常に高く、生臭みもなく、まろやかな甘みとうま味が特徴のブランド卵「地黄卵」の誕生の原動力となった。

 「一度食べたら、他の卵は食べられない」「卵かけごはんにしたら、とってもおいしかった」――。こんな消費者から届く反響に、荒牧さんは目を細めながら、「こだわり続けて良かった。とてもうれしい」と照れくさそうに話す。


きっかけは「自分の卵に自分で価格をつけたい」
飼料開発に模索の2年。効果確認に鶏のふんとの"格闘"も

jiouran_img02.jpg こだわるきっかけとなったのは、「自分の卵に自分で価格を付けることができないという当時の業界のシステムに危機感を持った」(荒牧さん)からだという。

 サラリーマンから転職し、父親の養鶏場を引き継いだ当時、どの養鶏業者も、卵の選別からパッケージ、出荷までを取引している飼料会社が行っていた。販売ルート確保の不安はないものの、卵の価格は相場に左右され、低価格の要求を受け入れざるを得なかった。荒牧さんは「こりゃ、どうにかせないかん!自分が生産する卵に、自分自身で値段をつけたい」と考え、自社販売を決意した。

 販売ルートづくりから始めなければならない。養鶏農家自らが販売先開拓のために、直接営業活動をすることが珍しい時代、周囲の人から白い目で見られたこともあったが、「自分が生き残る道はこれしかない」と信じて、がむしゃらに販売先獲得に走り回った。

 同時に、消費者に喜ばれるこだわりの卵づくりが不可欠と思い、独自飼料の開発に着手。人間と同じように鶏の腸内も弱酸性にすると健康になることから、手始めに餌に乳酸菌を入れ、「1ヶ月間にわたって、鶏のふんにリトマス試験紙をつけて弱酸性になるかどうかを確認した」(荒牧さん)というほどの熱の入れようだった。懸命な模索はその後、2年間も続き、念願の純植物性飼料「ヂオウ18」の開発にたどり着いたという。


安全・安心へ衛生管理も徹底!選卵も基準高く、取引先から高い評価

jiouran_img04.jpg 当然のように、消費者が厳しい目を向ける安全・安心にも心を割く。

 独自開発した飼料「ヂオウ18」の主原料であるトウモロコシはIPコーン(特殊形質保護トウモロコシ)という、交配などで品質が変わらないよう厳格に管理されたもの。「使っているトウモロコシは通常のものと比べ、価格も高いが、これをやめるわけにはいきません。やめてしまうと、それは地黄卵ではなくなってしまう」と言うほどのこだわりを持つ。

 それ以外にも大豆や菜種油のかす、赤ピーマン、乳酸菌などを配合するなど、純植物性を徹底する。

 また、農場には食品の安全性の確保と品質管理のためにHACCP(ハサップ)の手法を用いて衛生管理を行っている。農場に入るためには必ず除菌用更衣室を通過しなければならず、外からの異物進入防止の実施、部屋の温度管理・卵の出荷数の一覧表を掲示するなどして、従業員全員が安全・安心の卵づくりへの取り組みを積極的に行っている。

 もちろん出荷する卵は、「選卵基準を特に厳しく設定し、キズや割れはもちろん、表面の色ムラもチェックして、均質で良質な卵のみ出荷します」と強調。その徹底ぶりに取引先からの厚い信頼と高い評価を得ている。


ブランド卵を活用した地域活性化策も模索
直営店で地域農産物も販売。膨らむ農業公園構想

 荒牧さんは今、「地黄卵」ブランドを活用した、地域活性化への試みも実践している。「地黄卵だけが売れればいいのではない。少しでも多くの人に、おいしい宮若の農産物を食べてもらいたい。そのために地黄卵を役立てたい」という、荒牧さんの地域への思い入れでもある。

 農場横で開設している直売所「若宮たまごの里」では地黄卵以外にも、自社農場の良質なたい肥を使った「たまごのお米」や地元農家が生産する農産物を販売する。これは荒牧さんが会長を務めている宮若市認定農業者連絡協議会とのタイアップ事業である。

 「将来は地元農家自慢の農産物を食べられるレストランや田植えもできる体験型施設も併設した農業公園を、行政や地元農家みんなで造って宮若の地域農業の発展させたい」。荒牧さんは大きな夢に胸を膨らませている。

jiouran_img03.jpg



プロフィール

jiouran_plofile_photo.jpg(株)地黄卵社長:荒牧 博幸さん

第60回全国農業コンクール優秀賞(毎日新聞社賞)
1952年4月19日生。前進の荒牧養鶏場を父親から引き継ぐため、就職していた地元企業を脱サラしたのが85年。当初、9000羽だった飼養規模は現在、4万羽近くに拡大。2005年には社名を㈱地黄卵に変更し、「地黄卵」ブランドを確立させた。卵以外にも、農場横の直売店舗「若宮たまごの里」や2011年9月にオープンしたレストラン「五反田亭」を経営し、"6次産業化"にも積極的に取り組んでいる。また、若宮市認定農業者連絡協議会の代表として、地元の特産品を直売店舗で販売し、宮若市農業の活性化にも尽力している。